「お客様からの問い合わせに誰が対応したか分からない」
「同じ問い合わせに2人が別々に回答してしまった」
こうした対応漏れ・二重対応は、Excelやメールだけで問い合わせを管理している企業に共通する悩みです。
ノーコードツール「kintone(キントーン)」を使えば、問い合わせの内容・対応状況・担当者をひとつの画面で一元管理でき、チーム全員が同じ情報をリアルタイムに把握できます。本記事では、kintoneで問い合わせ管理アプリを作る具体的な手順から、効率化のための機能活用法、導入時の失敗パターンまで、実務で使えるレベルまで詳しく解説します。
目次
kintoneの問い合わせ管理とは?Excel・メール管理との違い
問い合わせ管理とは、顧客や取引先から寄せられる質問・要望・クレームなどの内容を記録し、対応状況を追跡する業務のことです。
多くの中小企業では、Excelの管理表やメールの個人フォルダだけで対応しているケースが少なくありません。しかし、この方法には次のような限界があります。
よくある問い合わせ管理の課題
- 対応漏れ・遅延:誰が対応すべきか不明確で、問い合わせが放置される
- 二重対応:複数の担当者が同じ問い合わせに気づかず重複して回答してしまう
- 属人化:対応履歴が個人のメールボックスに溜まり、担当者が休むと引き継ぎができない
- ナレッジが活用されない:過去の回答内容を検索できず、毎回ゼロから調べ直す
- 分析ができない:問い合わせの件数や傾向を集計するのに手間がかかる
kintoneで解決できる理由
kintoneは、問い合わせの内容と対応履歴をデータベース形式で一元管理できるクラウドサービスです。問い合わせごとに「対応ステータス」「担当者」「回答期日」といった項目を設定し、チーム全員が同じ画面で進行状況を確認できます。
さらに、コメント機能のメンション(@担当者名)を使えば、担当者への連絡もkintone内で完結し、対応漏れや連絡ミスを減らせます。Excelのように複数人で同時編集してファイルのバージョンが分かれてしまう心配もなく、常に最新の情報が共有されます。
kintoneで問い合わせ管理アプリを作る基本ステップ
kintoneには専門的なプログラミング知識は不要です。
ドラッグ&ドロップの操作だけで、自社の業務に合わせた問い合わせ管理アプリを作成できます。
ここでは基本的な作成手順を解説します。
問い合わせ管理アプリに必要な主なフィールド
まずは、問い合わせ管理に欠かせない項目(フィールド)を確認しましょう。
| フィールド名 | 用途・設定例 |
|---|---|
| 受付日時 | 問い合わせを受けた日時を記録(日時フィールド) |
| 問い合わせ種別 | 「製品の不具合」「使い方の質問」「クレーム」などをドロップダウンで選択 |
| 質問者・会社名 | 顧客名や会社名を入力。顧客マスタとルックアップ連携も可能 |
| 問い合わせ内容 | 詳細を記載する文字列(複数行)フィールド |
| 対応ステータス | 「未対応」「対応中」「対応完了」などのプロセス管理用フィールド |
| 担当者 | 対応する社員をユーザー選択フィールドで指定 |
| 回答期日 | 対応の目安となる期日を日付フィールドで管理 |
| 回答内容・添付ファイル | 実際の回答内容や添付資料を記録 |
ワンポイント
対応の見積り時間・実績時間のフィールドを追加すると、後から「どの種別の問い合わせに時間がかかっているか」を分析でき、業務改善に役立ちます。
作成の流れ(5ステップ)
- アプリを作成する
kintoneにログインし、「アプリを作成する」から「はじめから作成」を選択します。 - アプリ名を設定する
「問い合わせ管理」など、誰が見ても分かる名前を入力します。 - フォームにフィールドを配置する
上記の表を参考に、ステータス・担当者・問い合わせ内容などのフィールドをドラッグ&ドロップで配置します。 - プロセス管理を設定する
「未対応→対応中→対応完了」のようにステータスの流れを設定し、各ステータスでの担当者(実行可能なユーザー)を指定します。 - アクセス権を設定して運用開始
部署やメンバーごとに閲覧・編集権限を設定し、運用を開始します。
問い合わせ管理を効率化する3つの機能
問い合わせ管理アプリを作成したら、次はkintoneの標準機能を活用して運用を効率化しましょう。特に有効な3つの機能を紹介します。
①ステータス管理とプロセス管理で対応漏れを防止
kintoneのプロセス管理機能を使うと、「未対応」「対応中」「確認待ち」「対応完了」のように対応状況をワークフローとして可視化できます。
各ステータスで担当できる人を限定すれば、誰が次に対応すべきかが一目で分かり、対応漏れを未然に防げます。
- 一覧画面で「未対応」のレコードだけを絞り込み表示すれば、対応忘れがすぐに発見できる
- 回答期日を過ぎたレコードを目立つ色で表示するよう設定すれば、遅延対応を防げる
②コメント・メンション機能でチーム連携
各レコードにはコメント機能が付いており、「@担当者名」でメンションを付けて連絡すると、相手のkintoneポータル画面に通知が表示されます。
メールでのCCのやり取りのように埋もれることがなく、「誰に何を依頼したか」が記録として残るのも大きなメリットです。
③グラフ・レポート機能で問い合わせ傾向を分析
蓄積した問い合わせデータは、kintoneのグラフ機能で簡単に可視化できます。
- 問い合わせ種別ごとの件数を円グラフで把握し、よくある質問への対策を検討
- 月別・週別の件数を折れ線グラフで確認し、繁忙期のリソース配分に活用
- 担当者別の対応件数・対応時間を集計し、業務の偏りを可視化
こうした分析は、「問い合わせの多い項目をFAQ化する」「対応品質を均一化する」といった次の改善アクションにつながります。
Webフォーム・メール連携でさらに効率化する方法
kintone標準機能だけでも問い合わせ管理は十分に効率化できますが、「外部からの問い合わせ受付」や「メール対応の共有」まで一気通貫で行いたい場合は、専用のプラグイン・連携サービスの活用が効果的です。
問い合わせフォームとkintoneを連携する
自社サイトに設置した問い合わせフォームから、回答内容を自動でkintoneアプリへ登録したい場合は、Webフォーム連携プラグインの利用が便利です。代表的なサービスとして、トヨクモ株式会社が提供する「FormBridge(フォームブリッジ)」があります。
- Webフォームの回答が自動でkintoneにレコードとして保存され、転記作業や入力ミスがなくなる
- 条件分岐機能で、選択した内容に応じて入力項目を出し分けられる
- 自動返信メール機能で、問い合わせ直後に受付完了メールを送信できる
導入時の注意点
- FormBridgeの利用には、kintoneの「スタンダードコース」以上の契約が必要です(ライトコースでは利用できません)。
- 料金プランや最新の機能詳細は、トヨクモ公式サイトで必ずご確認ください。
メール対応を一元管理する
問い合わせメールを複数人で共有・管理したい場合は、サイボウズが提供するメール共有サービス「メールワイズ(Mailwise)」とkintoneを連携する方法もあります。
kintoneに登録した顧客情報を使ってメールを送受信し、その履歴をkintoneの問い合わせ管理アプリ上で確認できるようになります。
- メールの送受信履歴と顧客情報を紐付けて管理できる
- メールテンプレート機能で、よくある質問への回答スピードが向上する
- 「対応中」「完了」などのステータス表示で、誰が対応したかが一目で分かる
料金は、メールワイズが1ユーザーあたり月額600円(5ユーザーから契約可能)となっています(2026年6月時点の公式情報。最新価格は必ず公式サイトでご確認ください)。
【事例】kintoneで問い合わせ管理を導入した中小企業の改善イメージ
ここでは、kintoneによる問い合わせ管理の導入で、業務がどのように変化するかをイメージしやすいよう、よくある業務課題をもとにした事例を紹介します。
※以下の事例は、実際のkintone導入現場でよくある業務課題をもとに、EDSエンターテインメント(環境デジタルソリューション株式会社)が編集・再構成したものです。特定の企業・団体を示すものではありません。
事例①:住宅設備メンテナンス会社(従業員25名)
導入前は、顧客からの修理依頼をメールと電話で受け、担当者が個人のノートに対応状況を記録していました。
担当者が休むと誰がどこまで対応したか分からず、同じ修理依頼に2名のスタッフが訪問してしまうといったトラブルが発生していました。
kintoneで問い合わせ管理アプリを構築し、「受付」「現場調査」「対応完了」のプロセス管理を設定。
担当者をアサインした時点でメンション通知が届く仕組みにしたことで、対応の重複や連絡漏れが解消されました。
対応履歴も蓄積されるため、同じ顧客からの再依頼にもスムーズに対応できるようになりました。
事例②:ITサポート企業(従業員40名)
導入前は、顧客からの問い合わせをメールで受け付けていましたが、担当者ごとにメールボックスが分かれており、対応状況をリアルタイムに共有できないことが課題でした。
問い合わせの種類も多岐にわたり、似たような質問への回答を毎回ゼロから作成する手間も発生していました。
kintoneとFAQアプリを連携し、過去の回答内容を検索できる仕組みを構築。
新人スタッフでも過去の事例を参照しながら回答できるようになり、対応品質が安定しました。
また、問い合わせ種別をグラフで可視化したことで、特に多い質問項目をFAQページに反映し、問い合わせ件数そのものの削減にもつながりました。
kintoneの問い合わせ管理導入で失敗しないための注意点
kintoneは柔軟性が高い分、設計を誤ると「結局Excelの方が早かった」という事態に陥ることもあります。
導入前に押さえておきたい失敗パターンと対策をまとめました。
よくある失敗パターン
- 項目を増やしすぎて入力が面倒になり、現場が定着しない
- ステータスの定義が曖昧で、「対応中」のまま放置されるレコードが増える
- 権限設定が不十分で、関係のない部署にも問い合わせ内容が見えてしまう
- FAQやナレッジを蓄積する仕組みを作らず、属人化が解消されない
- 現場の意見を聞かずに情報システム部門だけで設計し、使われないアプリになる
導入前チェックリスト
- 現場の担当者にヒアリングし、本当に必要な項目だけに絞り込んだか
- ステータスの定義(いつ「対応完了」にするか等)をチーム内で統一したか
- 部署・役職に応じたアクセス権を設計したか
- 過去の問い合わせ履歴を移行する場合、データの整理方法を決めたか
- 運用開始後に定期的にアプリを見直す体制を決めたか
特に「現場の意見を聞かずに設計してしまう」ことは、ノーコードツール導入が失敗する最も多い原因のひとつです。実際に問い合わせ対応を行う担当者の声を反映した設計が、定着の鍵となります。
kintoneの料金プランと問い合わせ管理に必要な構成
kintoneには3つの料金プランがあり、利用したい機能によって選ぶべきプランが異なります。
| プラン | 月額(税抜/1ユーザー) | 問い合わせ管理での利用ポイント |
|---|---|---|
| ライトコース | 1,000円 | 基本機能のみ。プラグインや外部サービス連携は利用不可 |
| スタンダードコース | 1,800円 | プラグイン・外部連携が利用可能。FormBridge等を使うならこちら以上が必須 |
| ワイドコース | 3,000円 | スタンダードの機能に加え、アプリ数上限などが拡張された大企業向けプラン |
※最小契約ユーザー数は10ユーザーからです。料金は2026年6月時点の公式サイト情報を参照していますが、最新の料金は必ずkintone公式サイトでご確認ください。
どのプランを選ぶべき?
- 社内の問い合わせ対応だけで完結する場合は「ライトコース」でも運用可能です。
- Webフォーム連携やメールワイズ連携など外部サービスと組み合わせたい場合は「スタンダードコース」以上を選びましょう。
- 迷った場合は、業務内容をヒアリングした上で最適な構成を提案してもらうのが安心です。

kintoneの問い合わせ管理に関するよくある質問
Q.プログラミングの知識がなくても問い合わせ管理アプリは作れますか?
はい、作成できます。kintoneはノーコードツールのため、フィールドをドラッグ&ドロップで配置するだけでアプリを作成できます。
専門的なプログラミングスキルは不要です。
Q.既存のExcelで管理している問い合わせデータは移行できますか?
可能です。kintoneはCSV形式でのデータ取り込みに対応しているため、既存のExcelデータを整理した上でインポートできます。
ただし、項目の構成が大きく異なる場合は事前の整理作業が必要です。
Q.社外のお客様がkintoneアカウントを持たなくても問い合わせできますか?
kintoneアカウントを持たない方からの問い合わせを受け付けたい場合は、FormBridgeなどのWebフォーム連携プラグインを利用することで、Webページ上のフォームから直接kintoneへデータを登録できます。
Q.無料で試すことはできますか?
kintoneには30日間の無料トライアルが用意されています(公式サイトより申し込み可能)。実際の操作感を確かめた上で導入を検討できます。
Q.導入後のサポートも依頼できますか?
はい。EDSエンターテインメント(環境デジタルソリューション株式会社)では、アプリ作成だけでなく運用開始後の改善提案まで継続的にサポートする「伴走支援」を提供しています。
社内に専門知識を持つ人材がいない場合でも安心してご利用いただけます。
まとめ|問い合わせ管理の効率化はkintoneとEDSエンターテインメントへ
kintoneを活用した問い合わせ管理は、対応漏れ・二重対応・属人化といった多くの企業が抱える課題を解決する有効な手段です。
本記事で紹介したポイントを振り返ってみましょう。
- ステータス管理とプロセス管理で、対応の進行状況をチーム全員が把握できる
- コメント・メンション機能で、対応の連絡漏れを防止できる
- Webフォーム・メール連携で、受付から対応完了まで一気通貫の管理が可能になる
- グラフ機能でのデータ分析が、問い合わせ件数そのものの削減にもつながる
一方で、「項目を増やしすぎる」「現場の意見を反映しない設計」といった失敗パターンに陥ると、せっかく導入してもうまく定着しません。
自社だけで設計・運用するのが不安な場合は、kintoneの導入実績が豊富な専門会社に相談することをおすすめします。