契約書の数が増えるほど、
「あの契約はいつ更新だったか」
「最新の契約条件はどれか」
を確認する作業に時間がかかっていませんか。Excelや紙のファイリングで契約管理を行っていると、検索性の低さや更新漏れのリスクが避けられません。
本記事では、業務改善プラットフォーム「kintone」を使って契約管理を効率化する方法を、基本機能だけで作る方法とプラグイン・外部連携を使った高度な方法の両面から解説します。あわせて、契約管理アプリ構築でよくある失敗パターンや、導入前に確認しておきたいチェックリストも紹介します。
目次
契約管理がkintoneに向いている理由
紙・Excelでの契約管理によくある3つの課題
契約書を紙やExcelで管理している企業では、次のような課題が起こりやすくなります。
- 検索性の低さ
契約先や契約書名で検索しても該当のファイルが見つからず、棚やフォルダを一つひとつ確認する手間がかかる - 更新漏れのリスク
契約満了日の管理が担当者の記憶やカレンダー任せになり、自動更新条項に気づかず不利な条件のまま継続してしまう - 情報の属人化
契約の経緯や交渉内容が担当者個人のメールやメモに残ったままで、担当者変更時に引き継ぎが難しい
kintoneで契約管理をするメリット
kintoneはサイボウズ株式会社が提供するクラウド型の業務改善プラットフォームで、プログラミング不要でアプリを作成できる点が特徴です。契約管理に活用すると、次のようなメリットが期待できます。
- クラウド上で一元管理でき、契約先・契約期間・金額・担当者などの情報をいつでもどこからでも検索・確認できる
- 契約満了日が近づくと自動で通知されるよう設定でき、更新忘れのリスクを減らせる
- やり取りの履歴をコメント欄に残せるため、担当者が変わっても契約交渉の経緯を追跡しやすい
- 契約書ファイル(PDFなど)を添付して保管できるため、紙のファイリングから脱却できる
💡kintoneとは
サイボウズ株式会社が提供する業務改善プラットフォームで、ドラッグ&ドロップの操作だけで業務用アプリを作成できます。契約管理のほか、案件管理・顧客管理・日報管理など幅広い業務に応用できる点が特徴です。
kintoneの基本機能だけで契約管理アプリを作る方法
kintoneでは、プラグインを使わない基本機能だけでも契約管理アプリを作成できます。ここでは、ゼロから作成する場合の手順を解説します。
契約管理アプリに必要な項目(フィールド)の洗い出し
アプリ作成の第一歩は、管理したい項目(フィールド)を洗い出すことです。契約管理アプリで一般的に必要とされる項目の例は次のとおりです。
| 項目カテゴリ | フィールド例 | kintoneのフィールド種類 |
|---|---|---|
| 契約先情報 | 契約先名、担当者名、連絡先 | 文字列(1行)、ルックアップ |
| 契約内容 | 契約種別、契約金額、契約条件の概要 | ドロップダウン、数値、文字列(複数行) |
| 契約期間 | 契約開始日、契約終了日、自動更新の有無 | 日付、チェックボックス |
| 管理情報 | 契約ステータス、社内担当者、承認状況 | ドロップダウン、ユーザー選択 |
| 添付資料 | 契約書PDF、覚書・付随契約書 | 添付ファイル |
サンプルアプリ「契約書管理」を活用した作成手順
kintoneには、契約管理に必要な項目があらかじめ用意された「契約書管理」サンプルアプリが用意されています。1からフィールドを設計するよりも、サンプルアプリを土台にして調整するほうが効率的です。
- kintoneのアプリストアから「契約書管理」サンプルアプリを追加する
- 業務に合わせて、不要な項目を削除し、必要な項目を追加する
- 契約先・契約金額・契約期間など、自社の管理項目に合わせてフィールド名や選択肢を調整する
- レコードを追加し、契約先情報や契約内容を入力、契約書ファイルを添付する
- 入力内容を確認し、保存して運用を開始する
基本機能でできること・できないこと
| 項目 | 基本機能でできること | 基本機能の限界 |
|---|---|---|
| 情報の登録・管理 | 契約先・期間・金額などの一元管理 | アプリ間の自動連携は限定的 |
| 検索 | 全体検索やレコード一覧での絞り込み | 契約書本文の全文検索はできない |
| 更新通知 | 日付フィールドを基準にしたリマインダー通知 | 通知文へのレコード値の差し込みは不可 |
| 電子契約 | 契約書ファイル(PDF等)の添付・保管 | 電子署名・自動送信機能はない |
基本機能だけでは限界が出てくるケース
契約件数が増えると起こる管理の崩れ
kintoneでは、顧客・案件・契約をそれぞれ別アプリで管理するケースが一般的です。そのため契約件数が増えると、契約内容を確認するだけでも複数アプリをまたいだ確認作業が発生します。担当者変更や契約条件の変更があった場合は、関連する複数のアプリを修正しなければ情報の不一致が起きてしまいます。
更新漏れ・検索性・情報の属人化という3つのリスク
基本機能だけでも契約情報の登録・管理は可能ですが、一つひとつ手入力すると記載ミスが起こる可能性があります。また、アプリ間の情報をルックアップで参照している場合、データ元の情報を書き換えても連携先のデータは自動更新されないため、都度情報を再取得する手間が発生します。
⚠基本機能の限界を感じやすいケース
- 契約先ごとに契約期間・契約内容が異なり、管理項目が複雑化している
- 取引件数が多く、手入力による記載ミスや確認漏れが発生している
- 電子契約サービスとの連携や、契約書の自動生成を行いたい
- 契約更新の通知文に契約先名や金額などの詳細を含めたい
プラグイン・外部サービス連携で契約管理を効率化する方法
基本機能だけで契約管理に限界を感じた場合は、プラグインや外部サービスとの連携を検討しましょう。プラグインを活用すると、契約書の作成や電子契約締結などの業務もkintone上で行えるようになります。
契約更新リマインド通知の設定方法
kintoneの基本機能には、レコード内の日付フィールドを基準にした「リマインダー通知」が用意されています。契約終了日の何日前に通知するかを条件として設定することで、更新忘れを防ぐ仕組みを作れます。
- 契約管理アプリの設定画面から「通知」メニューを開く
- 「レコードの条件通知」または「リマインダー」を選択する
- 基準となる日付フィールド(契約終了日など)と、通知タイミング(30日前、7日前など)を指定する
- 通知先(担当者・組織)を設定し、保存する
💡通知機能を使う際の注意点
kintoneの標準機能では、通知文にレコードの値(契約先名や金額など)を自動で差し込むことはできません。通知内容を分かりやすくしたい場合は、プラグインの活用を検討するとよいでしょう。
電子契約サービスとの連携でできること
kintoneと電子契約サービスを連携させると、契約書の作成から締結、保管までをオンラインで完結できます。代表的な連携先の一つが「クラウドサイン」で、複数の連携プランが用意されています。
| 連携プラン | 主な機能 | 料金(税別) |
|---|---|---|
| クラウドサインBasicforkintone | kintone上の顧客情報と紐づけて契約締結・管理 | 初期費用30万円/月額1.2万円 |
| クラウドサインMAKEforkintone | 顧客・商品情報から帳票を自動作成し契約締結 | 初期費用30万円/月額2.7万円 |
| クラウドサインFILINGforkintone | 紙・電子契約書を一元管理、親子契約の紐づけ | 初期費用30万円/月額2.2万円 |
※2026年6月時点の情報です。いずれもクラウドサインのAPIが利用できるプランへの別途加入が必要です。最新の料金・契約条件は各サービスの公式サイトで必ずご確認ください。
代表的な契約管理プラグイン・連携サービスの比較
契約管理を強化するプラグイン・連携サービスには、それぞれ異なる強みがあります。代表的なものを比較します。
| サービス名 | 特徴 | 提供形態 |
|---|---|---|
| 契約書管理onkintone | 契約書の親子関係管理、期限通知、アクセス権限の細かな制御 | セミオーダー型アプリパッケージ |
| クラウドサイン連携アプリ | 取引情報から契約書PDFを自動作成し電子契約締結まで自動化 | プラグイン |
※プラグイン・連携サービスの提供会社・料金・機能は変更される場合があります。導入前に必ず各提供会社の公式サイトで最新情報をご確認ください。
kintoneで契約管理を始める際の費用
kintone本体の料金プラン
kintoneには3つの料金コースがあり、利用規模と必要な機能に応じて選択します。2024年11月の価格改定後の料金は次のとおりです。
| コース | 月額(税別) | 最小契約ユーザー数 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ライトコース | 1,000円/ユーザー | 10ユーザーから | 基本機能のみ。プラグイン・API連携は不可 |
| スタンダードコース | 1,800円/ユーザー | 10ユーザーから | プラグイン・API連携が可能。最も選ばれるプラン |
| ワイドコース | 3,000円/ユーザー | 1,000ユーザーから | 大規模組織向け。ポータル強化・承認履歴機能など |
※2026年6月時点の公式サイト情報です。契約管理でプラグインや電子契約連携を利用したい場合は、API連携が可能な「スタンダードコース」以上の選択が必要です。最新の料金は必ず公式サイトでご確認ください。
電子契約連携プラグインの料金目安
前章で紹介したクラウドサイン連携プランは、初期費用30万円・月額1.2万〜2.7万円が目安です。電子契約サービス側のAPI対応プランへの加入も別途必要になるため、トータルコストで比較検討することが重要です。
💡費用を抑えるポイント
契約管理の規模が小さいうちは、基本機能のみのライトコースから始め、件数や課題が増えたタイミングでスタンダードコース・プラグイン導入を検討するという段階的な進め方も有効です。
契約管理アプリ構築でよくある失敗パターン
項目設計が甘く後から大改修が必要になる
契約の種類(業務委託・賃貸借・秘密保持契約など)によって必要な項目が異なるにもかかわらず、1つのフォーマットで全契約を管理しようとすると、後から項目を大幅に追加・変更する必要が出てきます。最初に契約の種類を分類し、共通項目と種類別の項目を整理しておくことが重要です。
権限設定が不十分で情報漏洩リスクが残る
契約情報には金額や取引条件など機密性の高い情報が含まれます。アプリ全体に同じ権限を設定してしまうと、本来見るべきでない担当者にも契約金額が見えてしまうケースがあります。レコードごと・項目ごとにアクセス権限を分けて設定することが望ましいです。
運用ルールが定まらず属人化が再発する
アプリを作っただけで「入力は各担当者の自由」としてしまうと、入力内容のばらつきが生じ、結局は属人化が再発します。入力必須項目やステータスの更新タイミングなど、運用ルールをドキュメント化しておくことが定着の鍵になります。
⚠失敗を避けるためのポイント
- 契約種類ごとに必要な項目を事前に整理してから設計に着手する
- 権限設定はレコード単位・項目単位で見直し、機密情報の閲覧範囲を限定する
- 運用ルール(入力タイミング・ステータス更新の基準)を文書化し、関係者に共有する
契約管理アプリ導入前の事前チェックリスト
契約管理アプリの構築に着手する前に、次のチェックリストで準備状況を確認しておくと、後からの手戻りを減らせます。
- 管理対象とする契約の種類(業務委託・賃貸借・秘密保持契約など)を洗い出したか
- 契約ごとに必要なフィールド(項目)を整理し、共通項目と個別項目を区別したか
- 契約金額など機密性の高い項目について、権限設定の方針を決めたか
- 契約更新の通知タイミング(何日前に誰へ通知するか)を決めたか
- 電子契約サービスとの連携が必要か、必要な場合はどのプランが適切かを検討したか
- 既存のExcel・紙の契約データをどのように移行するか、移行計画を立てたか
- 運用ルール(入力ルール・ステータス更新基準)を関係者に共有する準備ができているか
kintone契約管理導入を成功させるなら専門家への相談がおすすめ
ここまで解説したように、kintoneでの契約管理は基本機能だけでも始められますが、契約件数の増加や電子契約連携を見据えると、項目設計・権限設計・プラグイン選定など検討すべき要素が多くあります。自社だけで進めると、運用後に大きな手戻りが発生するケースも少なくありません。
島根県松江市を拠点とするEDSエンターテインメント(環境デジタルソリューション株式会社)では、kintoneの導入支援からアプリ開発、運用後の継続サポートまでを一貫してご提供しています。契約管理の実務に合わせた項目設計や、電子契約連携の選定についても、お客様の業務内容をヒアリングしたうえで最適な構成をご提案します。
- 導入しやすい価格設定で、中小企業でも導入しやすいコスト感を実現
- 全国対応のオンライン支援体制で、地域を問わずサポートが可能
- 導入後も伴走支援し、運用が定着するまで手厚くフォロー
よくある質問(FAQ)
Q1.kintoneの基本機能だけで電子契約はできますか?
基本機能のみでは、電子署名や契約書の自動送信といった電子契約機能は搭載されていません。電子契約を行いたい場合は、クラウドサインなどの電子契約サービスとの連携プラグインを導入する必要があります。
Q2.契約書の更新通知はどうやって設定しますか?
契約終了日などの日付フィールドを基準にした「リマインダー通知」を設定することで、指定した日数前に担当者へ通知が届くようになります。通知文にレコードの詳細を含めたい場合は、プラグインの活用がおすすめです。
Q3.契約管理アプリと案件管理アプリは分けるべきですか?
契約件数や案件件数が少ない場合は1つのアプリで管理することも可能ですが、件数が増えるとアプリを分けたうえでルックアップ機能で連携させる運用が管理しやすくなります。
Q4.既存のExcel契約台帳をkintoneに移行できますか?
kintoneはCSVやExcelファイルの読み込み機能を備えており、既存の契約台帳のデータをそのまま取り込むことが可能です。事前に項目(列)を整理しておくと移行がスムーズです。
Q5.契約書の原本(紙)はどう管理すればいいですか?
紙の契約書はスキャンしてPDF化し、kintoneのレコードに添付して管理する方法が一般的です。原本そのものは別途キャビネット等で保管しつつ、kintone上でデータとしての検索性を確保する運用が現実的です。
Q6.契約管理アプリの構築は自社でもできますか?
kintoneはノーコードでアプリを作成できるため、基本機能の範囲であれば自社での構築も可能です。ただし、項目設計や権限設定、プラグイン選定まで含めて最適化したい場合は、導入実績のある専門会社に相談することで、手戻りを防ぎながら効率的に進められます。
まとめ
kintoneでの契約管理は、基本機能だけでも紙・Excel管理からの脱却が可能ですが、契約件数の増加や電子契約への対応を見据えると、プラグインや外部サービスとの連携が効果を発揮します。
- まずは契約の種類と必要項目を整理し、サンプルアプリを土台に基本機能でアプリを作成する
- 契約件数の増加や電子契約のニーズが出てきたら、プラグイン・外部連携の導入を検討する
- 導入前にはチェックリストで準備状況を確認し、よくある失敗パターンを避ける
自社だけでの構築に不安がある場合は、kintone導入支援の専門会社に相談することで、設計段階からの手戻りを防ぎ、スムーズな運用定着を実現できます。