「営業の進捗が担当者しか分からない」
「Excelの案件管理表が更新されず、いつの情報か分からない」
こうした悩みを抱える中小企業は少なくありません。
kintone(キントーン)は、ノーコードで業務システムを作れるクラウドサービスとして、こうした営業管理の課題を解決する手段として注目されています。専用のSFA(営業支援システム)を新たに契約するよりも低コストで、自社の営業フローに合わせたアプリを柔軟に構築できる点が大きな特徴です。
本記事では、kintoneで営業管理を行う具体的な手順から、導入時に陥りやすい失敗パターンと回避策、料金プラン、よくある質問まで、実践的な視点で解説します。
目次
kintoneの営業管理とは?できることを解説
kintoneの営業管理とは、顧客情報・案件(商談)情報・活動履歴といった営業活動に関わるデータを、kintone上に作成したアプリで一元管理することを指します。
専用のパッケージソフトではなく、自社の業務フローに合わせてアプリを自由に組み立てられる点が最大の特徴です。
kintoneで営業管理ができる仕組み(ノーコードアプリ)
kintoneは「アプリ」と呼ばれる業務システムの単位でデータを管理します。プログラミング知識がなくても、ドラッグ&ドロップの操作で「会社名」「案件名」「受注確度」「商談ステータス」などの項目(フィールド)を配置するだけで、自社専用の営業管理アプリを作成できます。
作成したアプリは即日から使い始められ、運用しながら項目の追加・修正を行えるため、営業現場の変化にあわせて柔軟に育てていけるシステムです。
SFA(営業支援システム)との違いと関係性
SFA(SalesForceAutomation)は、営業活動を可視化・自動化するための専用ツールの総称です。kintoneはSFA専用ツールではありませんが、案件管理・顧客管理・活動履歴管理のアプリを組み合わせることで、SFAと同等の機能を自社仕様で構築できます。
💡kintoneとSFA専用ツールの違い
- SFA専用ツール(Salesforce等):営業支援に特化した高機能だが、月額コストが高く、自社独自の項目追加には制限がある場合が多い。
- kintone:営業管理に限らず日報・タスク管理など他業務にも応用でき、項目設計の自由度が高い。
一方で、営業特化の分析機能は標準では限定的なため、必要に応じてプラグインで拡張する。
kintoneで営業管理を行う3つのメリット
①顧客・案件情報の一元管理で属人化を防ぐ
営業管理における最大の課題は、情報が担当者個人に紐づいてしまう「属人化」です。顧客とのやり取りや商談履歴が担当者のメールやメモにしか残っていない場合、担当者が休んだり退職したりすると、引き継ぎに時間がかかり、対応の質も落ちてしまいます。
kintoneでは、顧客マスタ・案件管理・活動履歴をそれぞれアプリ化し、関連レコード一覧表示やルックアップ機能で紐づけて管理できます。これにより、誰がいつ見ても同じ情報にアクセスできる状態を作ることができます。
②スマホ対応で外出先からも入力・確認できる
kintoneはスマートフォン・タブレットに標準対応しており、外出先の営業担当者がその場で商談結果を記録したり、過去のやり取りを確認したりできます。
営業から戻ってPCで入力し直す二度手間がなくなり、情報の鮮度も保たれます。
③低コスト・ノーコードで自社運用できる
kintoneは1ユーザーあたり月額1,000円(ライトコース)〜3,000円(ワイドコース)で利用でき、最小契約ユーザー数は10名からです(2026年6月時点)。
SFA専用ツールと比べて初期費用や月額コストを抑えやすく、ノーコードで自社運用できるため外部委託コストも最小限に抑えられます。
kintoneで営業管理アプリを作る手順【5ステップ】
ここからは、kintoneで営業管理アプリを構築する実際の手順を5つのステップで解説します。いきなり完璧な仕組みを作ろうとせず、まずは最小限の構成で始めて運用しながら改善していくのが定着のコツです。
STEP1:管理したい項目を洗い出す
「会社名」「担当者名」「案件名」「受注確度」「予定金額」「商談ステータス」「次回アクション」など、現場で実際に必要な項目を洗い出します。
ポイント
- 最初から項目を盛り込み過ぎないこと。
- 多すぎる入力項目は現場の入力負荷を高め、定着しない原因になります。
STEP2:サンプルアプリ(営業支援パック)を活用する
kintoneには「営業支援パック」という無料のサンプルアプリ(テンプレート)が標準で用意されています。
顧客管理・案件管理・活動履歴の3アプリがセットになっており、アプリ間連携(ルックアップ・関連レコード一覧表示)もあらかじめ設定済みです。
ゼロから項目設計するよりも、このテンプレートをベースに自社向けへ調整する方が、構築の手間を大幅に減らせます。
STEP3:案件ステータスをプロセス管理で設定する
「初回接触」→「ヒアリング」→「提案」→「見積提示」→「受注/失注」のように、案件の進行ステータスを「プロセス管理」機能で設定します。
ステータスが変わると担当者に自動で通知が届くため、報告のためにわざわざ声をかける手間が減り、ステータス変更のボタンひとつで進捗が一覧に反映されます。
STEP4:グラフ機能で売上・進捗を可視化する
kintoneの標準グラフ機能を使い、担当者別の案件数・受注確度別の売上予測・月次の売上実績などを自動集計してグラフ化します。
マネージャーは進捗会議の前にいちいち資料を作る必要がなくなり、リアルタイムの状況をいつでも確認できるようになります。
STEP5:通知・コメント機能で報告業務を削減する
レコードに紐づくコメント機能を使えば、案件ごとの相談や引き継ぎ事項をその場に残せます。
チャットツールを横断して案件状況を探す手間がなくなります。
メール通知・スマートフォン通知を設定しておけば、kintoneを開かなくても重要な変更に気づける状態を作れます。
【事例】kintoneで営業管理を改善した中小企業の例
ここでは、kintoneによる営業管理改善の典型的な事例を2つご紹介します。具体的な業務課題とkintone導入後の変化をイメージする参考にしてください。
※以下の事例は、実際のkintone導入現場でよくある業務課題をもとに、EDSエンターテインメント(環境デジタルソリューション株式会社)が編集・再構成したものです。特定の企業・団体を示すものではありません。
事例①:設備工事業(従業員18名)|Excel管理からの脱却
複数の営業担当者がそれぞれ個人のExcelファイルで案件を管理しており、「誰がどの顧客に何を提案中か」を上司が把握できない状態が続いていました。
月初の営業会議では、各担当者が手元のExcelを見ながら口頭で報告する形式で、報告内容の粒度もバラバラでした。
kintoneで案件管理アプリを構築し、進行ステータスをプロセス管理で統一したことで、上司がいつでも全担当者の案件状況をリアルタイムで一覧できるようになりました。
営業会議は報告のための時間ではなく、停滞している案件への対策を話し合う時間に変わりました。
事例②:人材紹介業(従業員8名)|担当者退職時の引き継ぎ負荷を削減
少人数の営業チームで、商談の経緯や顧客の細かい要望がメールと担当者の記憶に依存していました。
営業担当者が退職した際、後任が顧客対応の経緯を一から確認する必要があり、対応の質が一時的に低下してしまった経験がありました。
活動履歴アプリを案件管理アプリと紐づけて運用するようにしたことで、「誰が見ても経緯が分かる」状態を仕組みとして実現。
退職や異動が発生しても、後任者がコメント履歴を確認するだけで顧客対応を引き継げる体制になりました。
kintoneの営業管理でよくある失敗パターンと対策
kintoneは自由度が高い分、設計や運用の仕方次第で定着するかどうかが大きく変わります。
ここでは、営業管理アプリの構築でよく見られる失敗パターンと、その対策を紹介します。
失敗パターン①:項目を盛り込みすぎて現場が定着しない
「BANT情報」「競合情報」「詳細な活動履歴」など、分析に役立ちそうな項目を最初から網羅的に設計してしまうと、入力項目が多すぎて営業担当者の負担が増え、結局入力されないアプリになってしまいます。
対策
まずは「案件名・進行ステータス・予定金額・次回アクション」など必要最小限の項目から始め、運用しながら本当に必要な項目だけを追加していきましょう。
失敗パターン②:導入後の運用ルールを決めずに形骸化する
「いつ入力するか」「ステータスはいつ更新するか」というルールを決めずにアプリだけ作ってしまうと、入力するメンバーとしないメンバーが分かれ、データの精度が下がっていきます。
対策
「商談後は当日中に活動履歴を入力する」「ステータスは週次の営業会議前までに最新化する」など、運用ルールを最初に明文化し、チームに共有しましょう。
失敗パターン③:営業担当者の入力負荷が高く使われなくなる
PCの前でしか入力できない、選択項目が多くタップ数が多いなど、入力のハードルが高いアプリは、外出が多い営業担当者ほど使われなくなる傾向があります。
対策
スマートフォンでの入力を前提に、選択肢(ドロップダウンやラジオボタン)を活用してテキスト入力を減らす設計を心がけましょう。
導入前に確認しておきたいチェックリスト
営業管理アプリの構築に着手する前に、以下の項目を社内で確認しておくと、後から手戻りが発生するリスクを減らせます。
- 現在の営業フロー(初回接触から受注までの流れ)を言語化できているか
- 管理したい項目について、現場の営業担当者にヒアリングしたか
- 誰が・いつ・何を入力するのか、運用ルールの担当者を決めたか
- 既存のExcelやSFAツールからのデータ移行が必要かどうかを確認したか
- 社内に運用ルールを浸透させるための説明・研修の時間を確保したか
- 利用するユーザー数に応じたkintoneのコース(ライト/スタンダード/ワイド)を検討したか
営業管理を強化するおすすめプラグイン
kintoneの標準機能だけでも基本的な営業管理は十分に行えますが、より高度な集計・可視化を行いたい場合は、プラグインによる機能拡張も選択肢になります。
代表的なプラグインを紹介します。
krewDashboard(メシウス株式会社)
複数のkintoneアプリのデータを横断して、棒グラフ・円グラフ・ピボットテーブルなどでダッシュボード化できる有料プラグインです。
案件管理アプリと顧客管理アプリのデータを組み合わせて、担当者別・商品別など多角的な切り口で営業状況を可視化したい場合に活用されています。
料金はスタンダードエディションで月額22,000円(税込・100ユーザーまで、年額プランは220,000円)です。
利用にはkintoneのスタンダードコース以上の契約が必要です。30日間の無料トライアルが用意されているため、導入前に操作感を試すことができます。
※価格・機能仕様は変更される可能性があるため、最新情報は提供元の公式サイトでご確認ください。
💡プラグイン導入の判断基準
標準のグラフ機能で十分な可視化ができている場合は、プラグインを急いで導入する必要はありません。
「複数アプリのデータを一つの画面で横断的に見たい」「ピボット集計のような分析をしたい」というニーズが出てきた段階で検討するのがおすすめです。
なお、kintoneのプラグイン利用にはスタンダードコース以上の契約が必要です(ライトコースでは利用できません)。
kintoneと他の営業管理ツール(Excel・専用SFA)を比較
営業管理の手段としては、Excel/Googleスプレッドシート、kintone、SFA専用ツールの3つが主な選択肢になります。
それぞれの特徴を比較してみましょう。
| 比較項目 | Excel/スプレッドシート | kintone | SFA専用ツール |
|---|---|---|---|
| 導入コスト | 低い(既存ツールで運用可) | 中程度(月額1,000円〜/人) | 高い傾向(月額数千円〜/人) |
| カスタマイズ性 | 自由だが属人化しやすい | ノーコードで自由に設計可能 | テンプレートに沿った設定が中心 |
| 情報の一元管理 | △ ファイル分散しやすい |
○ アプリ間連携で一元管理 |
○ 営業特化で一元管理 |
| スマホ対応 | △ 編集には不向き |
○ 標準で対応 |
○ 標準で対応 |
| 分析・予測機能 | 手動集計が中心 | 標準グラフ+プラグインで拡張可 | 営業特化の高度な分析機能 |
| 他業務への応用 | 用途ごとに別ファイルが必要 | 営業以外の業務にも応用可能 | 営業管理に特化 |
💡どのツールを選ぶべきか
Excelからの脱却を低コストで始めたい、かつ営業管理以外の業務にもシステム化を広げたい中小企業には、kintoneが特にバランスの良い選択肢になります。
営業特化の高度な機能(リード獲得から商談確度予測まで自動化したい等)を必要とする場合は、SFA専用ツールも検討対象になります。
kintoneの料金プラン|営業管理に必要なコスト目安
kintoneの料金プランは、2024年11月の改定により現在は以下のとおりです(2026年6月時点)。最小契約ユーザー数は10名(ワイドコースのみ1,000名)です。
| コース | 月額料金(税抜・1ユーザー) | 主な特徴 |
|---|---|---|
| ライトコース | 1,000円 | 基本機能のみ。プラグイン・外部連携サービスは利用不可。 |
| スタンダードコース | 1,800円 | 全機能利用可能。プラグイン・API連携が可能。最も選ばれるプラン。 |
| ワイドコース | 3,000円 | 1,000ユーザー以上の大規模利用向け。 |
営業管理アプリ運用時の料金プラン選びの注意点
krewDashboardなどのプラグインを利用する場合は、ライトコースでは利用できません。スタンダードコース以上を選ぶ必要があります。
営業担当者が10名未満の場合でも、最小契約ユーザー数は10名のため、それを下回る人数分の料金は発生します。
kintoneの営業管理導入を成功させるには伴走支援がおすすめ
ここまで解説してきたとおり、kintoneによる営業管理は自由度が高い一方で、項目設計や運用ルールの作り方次第で定着するかどうかが大きく変わります。
「どの項目を残すべきか」「現場にどう浸透させるか」を自社だけで判断するのが難しい場合は、導入実績のあるパートナーに相談することで、構築の手間を減らしながら失敗パターンを避けやすくなります。
EDSエンターテインメント(環境デジタルソリューション株式会社)は、島根県松江市を拠点に、全国対応でkintoneの導入・アプリ開発・運用サポートを行っている会社です。単発のアプリ作成だけでなく、導入後の運用相談まで継続的に寄り添う「伴走支援」スタイルで、営業管理アプリの定着までをサポートしています。
kintoneの営業管理に関するよくある質問(FAQ)
Q1.kintoneは営業管理専用のツールではないのに使う意味がありますか?
kintoneは営業管理専用ツールではありませんが、案件管理・顧客管理・活動履歴のアプリを自社の業務フローに合わせて自由に設計できる点が強みです。
SFA専用ツールほどの高度な分析機能はないものの、低コストで始められ、営業以外の業務(日報・タスク管理など)にも同じ基盤を応用できるメリットがあります。
Q2.プログラミングの知識がなくても営業管理アプリを作れますか?
kintoneはノーコードで設計できるため、ドラッグ&ドロップの操作で項目を配置するだけでアプリを作成できます。
プログラミング知識は不要です。
ただし、複雑な自動化や外部システム連携を行う場合は、専門知識を持つ会社へ相談することでより効率的に構築できます。
Q3.既存のExcelで管理している案件データは移行できますか?
CSVファイルとして書き出したExcelデータを、kintoneアプリへ一括インポートする機能が標準で用意されています。
項目名を事前に揃えておくとスムーズに移行できます。
Q4.営業担当者が少人数(5名程度)でも導入する価値はありますか?
少人数チームでも、属人化のリスクや引き継ぎの負荷は十分に起こり得ます。
kintoneは最小契約ユーザー数が10名のため、人数に応じたコース選択(ライト/スタンダード)を検討しつつ、早い段階で情報共有の仕組みを作っておくことには価値があります。
Q5.導入後にうまく運用できるか不安です。サポートは受けられますか?
kintone自体にもヘルプやサポート窓口がありますが、自社の業務フローに合わせた項目設計や運用ルールの定着支援については、導入実績のある専門会社に相談することをおすすめします。
DSエンターテインメント(環境デジタルソリューション株式会社)では、構築から運用後の改善まで継続的にサポートする伴走支援を提供しています。
まとめ
kintoneを使った営業管理は、Excelやメールでの管理が抱える「属人化」「情報の分散」「進捗の見えにくさ」といった課題を、ノーコードかつ低コストで解決できる手段です。
重要なのは、最初から完璧な仕組みを目指すのではなく、必要最小限の項目から始め、運用ルールを決めたうえで現場に定着させていくことです。
本記事で紹介した5ステップや失敗パターンを参考に、自社に合った営業管理の仕組みづくりを進めてみてください。
もし「項目設計に迷っている」「運用が定着するか不安」という場合は、kintoneの導入支援・伴走支援を行う専門会社に相談することで、構築の手間を抑えながら失敗のリスクを減らすことができます。